花野子の珈琲ができるまで

花野子の珈琲ができるまで

花野子が出来るまでの物語 その1

1975年3月16日マスターこと 清一は高校時代の同級生かの子と結婚、2人の娘と1人の息子、母、祖母、犬のムック、猫のコウジと平凡なごく普通の賑やかでささやかな幸せの日々をおくっていた。

スーパーに勤めているサラリーマンの清一は40歳を過ぎた頃から、自分の人生を考えはじめた。
「このままで自分の人生はいいのだろうか?」
「何か自分で作り上げたもので人に喜んでもらえる人生はないものだろうか?」

45歳、その頃会社では、早期退職者を募りはじめた。
この頃から、清一は妻に聞こえるように、「会社辞めようかなア~」と一人言のように言い始めた。
かの子はようやく子供も大きくなり、これから楽しい人生をおくろうという矢先、もし独立して失敗し、 50過ぎてから借金をかかえたしたら嫌だ!とんでもない!と考えていた。
サラリーマンで平凡であるが、確かな幸せのほうがかの子にとってはよかった。 
でも内心一度言い出したら後へはひかないだろうとも思っていた。
お前が反対した為、自分の人生がつまらなかったと言われるのも嫌だった。

そして46歳の夏、清一は突然辞表をだした。
かの子は「えツ~~!?本当?で、これからどうするの?」
清一は「これから考える」の一言。

とうとう先の決まらぬまま退職日を迎え、複雑な気持ちのまま、まずは家族で労をねぎらいお祝い?をした。

つづく・・・